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選評
第三集を上回る約二七〇〇名の応募作品、五四〇〇句近い作品が届いたのが、十二月十二日、十四日は日川協の理事会が名古屋であり、便利になったとはいえ丸一日つぶれ、十五日は昼が三太郎忌の川柳研究句会で、夜は川柳公論の忘年句会という次第で、作品と向かい合ったのは十六日になってしまった。
五〇〇枚ずつになっている束の輪ゴムを外して、作品のふり分けを始めたが、予想したとおり同想旬類想句が多く、どの句を残してどの句を落とすかの一線の引き方に苦労させられた。」特にドラマ性がある丸木橋と吊り橋が圧倒的に多く、その中でも着想の良いもの、表現の面白いものは残すようにしたのだが、似たような句が出て来ると、やむを得ず没にするということを繰り返すことになった。例をあげてみる、「橋一つ渡ると違う市民税」「橋一つ越えると違う市民税」この他、市民税が住民税というのもあった、「橋渡しばかりでわたしまだ一人」「橋渡しばかりしていて未だ触り」この句なども惜しいが落とした作品の一つである。
入選作品の配列は、応募作品の番号順の方が整理しやすいとも思ったが、あえて類想句をまとめてみた。その結果、「吊り橋」と「吊橋」が並び、どちらかに統一したい思いもあったが、原句を尊重することにした。
秀逸三句、常識的かもしれないが、「ガラスの橋」は一つの発見だったし、「銅鐸」はニュース性を買い、「バージンロード」はその着想の面白さで選ばせて貰った、。
短期問の中の選句なので、佳句の見落しも多いと思うが、真剣に取り組んだ一週間なのでご容赦いただきたい。
野谷竹路

 

 

 

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